抄録
アレルギー児に対する環境整備として,屋内でのダニや真菌,ペット,花粉などのアレルゲン対策を考える.
ダニ対策として特に寝具が重要である.寝具は55℃以上のお湯で洗えれば効果的である.布団や枕は,週に1回は両面を干して,その後1m2あたり20秒以上,掃除機がけをする.布団が干せない場合は布団乾燥機を使用する.カバーやシーツは週に1回は洗う.寝具への防ダニカバーや防ダニシーツ,また防ダニ布団も有効である.真菌対策では屋内の湿気に注意し,窓の結露はふき取るようにする.観葉植物は真菌を増加させるため,屋内では育てない.
ペットはできれば手放す.できなければ外で飼う.ペットのいる家から帰宅したとき,あるいはペットを飼っている人が訪問したときには,服に付着したアレルゲンに注意する.花粉も屋内に入れないように,窓開けのタイミング,帰宅時の服に注意する.
アレルゲン対策としてどのアレルゲンにも共通しているのは,屋内の掃除である.床は,できれば絨毯やカーペットを除去する.フローリングにすると掃除がしやすい.掃除機は3日に1回以上,1m2あたり20秒はかける.掃除の時には換気をする.また掃除しやすく片づけをする.
これまでアレルギー患者への介入試験が行われてきた.頻回の家庭訪問,環境整備の指導,アレルゲン不透過性カバーの使用,HEPAフィルター付きの掃除機や空気清浄機の使用などの積極的な対策を行った場合に,有効性が認められた.
アレルゲン対策で重要なのは,まず各患児におけるアレルゲンが何であるかを知り,そのアレルゲンの特徴を知って対策を考え,患者教育を十分に行うことである.