抄録
ワクチン接種に関しては,安全性を心配するあまり,過剰な接種制限が現場で行われている.ワクチンを接種する際に考慮すべき因子は,接種を受ける人の免疫状態と,接種するワクチンが生ワクチンか不活化ワクチンかである.乳幼児,妊婦,高齢者,多くの慢性基礎疾患を持っている人は免疫変異者で,生ワクチン接種ができない妊婦を除き,原則不活化ワクチンも生ワクチンも接種可能である.生ワクチン接種ができない人は,極めて免疫機能が低下した人である.日本のインフルエンザワクチンは十分に精製されており,卵アレルギー児への接種は可能である.また,不活化ワクチンでは初回接種を確実に行い,免疫をprimingさせておくことが大切である.医学的にワクチンの接種ができない人を守る手段は,多くの人が集団免疫率を上回る率でワクチン接種を受け,当該感染症を流行させないことである.