日本小児アレルギー学会誌
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24 巻 , 2 号
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総説
  • 庵原 俊昭
    2010 年 24 巻 2 号 p. 193-202
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/07
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    ワクチン接種に関しては,安全性を心配するあまり,過剰な接種制限が現場で行われている.ワクチンを接種する際に考慮すべき因子は,接種を受ける人の免疫状態と,接種するワクチンが生ワクチンか不活化ワクチンかである.乳幼児,妊婦,高齢者,多くの慢性基礎疾患を持っている人は免疫変異者で,生ワクチン接種ができない妊婦を除き,原則不活化ワクチンも生ワクチンも接種可能である.生ワクチン接種ができない人は,極めて免疫機能が低下した人である.日本のインフルエンザワクチンは十分に精製されており,卵アレルギー児への接種は可能である.また,不活化ワクチンでは初回接種を確実に行い,免疫をprimingさせておくことが大切である.医学的にワクチンの接種ができない人を守る手段は,多くの人が集団免疫率を上回る率でワクチン接種を受け,当該感染症を流行させないことである.
  • 南部 光彦
    2010 年 24 巻 2 号 p. 203-216
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/07
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    アレルギー児に対する環境整備として,屋内でのダニや真菌,ペット,花粉などのアレルゲン対策を考える.
    ダニ対策として特に寝具が重要である.寝具は55℃以上のお湯で洗えれば効果的である.布団や枕は,週に1回は両面を干して,その後1m2あたり20秒以上,掃除機がけをする.布団が干せない場合は布団乾燥機を使用する.カバーやシーツは週に1回は洗う.寝具への防ダニカバーや防ダニシーツ,また防ダニ布団も有効である.真菌対策では屋内の湿気に注意し,窓の結露はふき取るようにする.観葉植物は真菌を増加させるため,屋内では育てない.
    ペットはできれば手放す.できなければ外で飼う.ペットのいる家から帰宅したとき,あるいはペットを飼っている人が訪問したときには,服に付着したアレルゲンに注意する.花粉も屋内に入れないように,窓開けのタイミング,帰宅時の服に注意する.
    アレルゲン対策としてどのアレルゲンにも共通しているのは,屋内の掃除である.床は,できれば絨毯やカーペットを除去する.フローリングにすると掃除がしやすい.掃除機は3日に1回以上,1m2あたり20秒はかける.掃除の時には換気をする.また掃除しやすく片づけをする.
    これまでアレルギー患者への介入試験が行われてきた.頻回の家庭訪問,環境整備の指導,アレルゲン不透過性カバーの使用,HEPAフィルター付きの掃除機や空気清浄機の使用などの積極的な対策を行った場合に,有効性が認められた.
    アレルゲン対策で重要なのは,まず各患児におけるアレルゲンが何であるかを知り,そのアレルゲンの特徴を知って対策を考え,患者教育を十分に行うことである.
原著
  • 星野 顕宏, 阿部 祥英, 冨家 俊弥, 校條 愛子, 中村 俊紀, 齋藤 多賀子, 酒井 菜穂, 伊藤 良子, 神谷 太郎, 北林 耐, ...
    2010 年 24 巻 2 号 p. 217-224
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/07
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    気管支喘息呼吸不全の児に対して硫酸マグネシウム(MgSO4)を点滴静注し,気管挿管を回避しえた女児例を経験した.本症例は2歳11ヵ月時に喘鳴と呼吸困難を認め,気管支喘息呼吸不全の診断で入院した.ステロイド薬静注,アミノフィリン持続点滴,イソプロテレノール持続吸入による治療を行ったが,呼吸状態は改善せず,不穏と高二酸化炭素血症認めた.気管挿管を考慮したが侵襲性が高いため,50mg/kgのMgSO4を20分かけて点滴静注した.速やかに不穏の軽快と呼吸状態の改善が得られ,投与開始1時間後に二酸化炭素分圧,心拍数,呼吸数はそれぞれ54.9mmHgから46.5 mmHg,157回/分から126回/分,48回/分から40回/分に低下した.MgSO4の有害事象は認めなかった.MgSO4は気管支平滑筋細胞からのカルシウムの駆出を増加させ,平滑筋の収縮を抑制させると考えられている.MgSO4は即効性のある薬剤として有効である可能性があり,特に治療抵抗性で気管挿管を考慮する症例にそれを回避する目的で投与する価値があると考える.
  • 林 大輔, 小田嶋 博, 漢人 直之, 村上 洋子, 手塚 純一郎, 本村 知華子, 岡田 賢司, 柴田 瑠美子, 西間 三馨
    2010 年 24 巻 2 号 p. 225-230
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/07
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    背景 嚥下障害が原因である難治性乳児喘鳴では嚥下障害に対する治療・介入が有効な場合がある.このときの治療前後の気道過敏性の変化は明らかではない.我々は喘鳴の原因として嚥下障害が考えられた症例における気道過敏性の推移を観察し得たので報告する.
    症例1  1歳8ヶ月男児.嚥下造影検査で異常が認められた.液体を摂取するときに,増粘剤を使用し,喘息の治療としLTRA,ICSも併用した.7ヶ月後の嚥下造影検査では増粘剤の使用により誤嚥が予防できており,気道過敏性はRT-Ach 156μg/mlから2500μg/mlへと改善していた.
    症例2 8ヶ月男児.造影検査で嚥下障害が認められた.喘息治療薬は使用せず増粘剤の使用で経過を観察した.12ヶ月後の嚥下造影検査では増粘剤の使用により誤嚥を予防できていた.気道過敏性は78μg/mlから625μg/mlに改善した.
    結論 乳児喘鳴で嚥下障害が併存し気道過敏性が亢進している場合,増粘剤の使用で誤嚥を予防すると気道過敏性が改善する可能性が考えられた.
  • 白川 清吾, 横内 裕佳子, 澤田 雅子, 城田 和彦, 宮城 慎平, 辻 祐一郎, 小野 正恵, 橋本 伸子, 細部 千晴, 森 蘭子, ...
    2010 年 24 巻 2 号 p. 231-240
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/07
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    【目的】JPACを用いて小児喘息の長期管理コントロール状態を評価した.また保護者が把握できない潜んだ昼間症状(特に運動誘発喘息)に着目した設問を新たに加えた独自追補版JPACを作成し,その有用性を検討した.
    【方法】小児科外来で長期管理中の喘息患者とその保護者を対象にJPACによるコントロール状態と治療ステップの判定を行い3ヶ月間の経時的変化を検討した.昼間症状について加えた3つの設問項目については直接患者本人から聴取した.
    【結果】1回目341例,2回目163例,3回目136例から回答が得られ,3ヶ月経時的に調査できたものは129例であった.治療ステップは1回目よりも3回目の方が高くなり,コントロール状態は完全コントロールが増加しコントロール不良が減少した.昼間症状については保護者からの聴取で「EIAなし」と回答した146例中,患者本人からの直接聴取では23例(15.8%)でEIAの存在が疑われた.
    【結語】喘息の長期管理においてJPACの有用性が再確認され,更に昼間症状に着目した独自追補版JPACも有用であると考えられた.
小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2008解説「ガイドラインをどう読むか」
  • 濱崎 雄平, 眞弓 光文, 足立 雄一
    2010 年 24 巻 2 号 p. 241-246
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/07
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    吸入療法は小児の気管支喘息の日常管理の対応手段として最も重要な位置を占めるに至っている.これは小児喘息が気道の慢性炎症であり,炎症のコントロールを治療目標として,吸入ステロイド(inhaled corticosteroid ; ICS)による日常管理が不可欠であるというコンセンサスを得たことが大きい要因となっている.しかしながら,小児,特に乳幼児にとって吸入療法を効果的におこなうには吸入器具および補助器具を用いた手技の習得が重要となる.小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2008(Japanese Pediatric Guideline for Asthma Treatment and Management 2008 ; JPGL2008) では小児に対して適切でかつ効率的な吸入療法が実施できるように,“小児気管支喘息における吸入機器とその使い方”の項(第10章)を設けた.本稿では,第10章について概説するとともに内容を補完した.
  • 向山 徳子
    2010 年 24 巻 2 号 p. 247-252
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/07
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    小児気管支喘息の治療においては,薬物療法のみならず,日常生活指導や心理社会的側面からの介入も重要である.気管支喘息治療の目標はより良い生活の質(QOL:quality of life)を達成させることにある.小児においては,成長発達に伴うアレルギー疾患の様相の変化にあわせ,心理社会的要因の変動も大きく,治療効果をあげるためには心理社会的な側面からの援助を出来るだけ提供し,包括的な治療計画を立てる必要がある.
    気管支喘息における心理社会的要因の見つけ方に関しては,喘息発作出現時の生活環境や日常生活における出来事との関連が参考となり,より客観的に捉えるための調査表が用いられている.喘息治療においては,心理社会的な問題点の関与を見つけ,有効に治療に介入させることが出来るか否かで,予後を左右させる要素ともなる.
食物アレルギー経口負荷試験ガイドライン2009解説
  • 柴田 瑠美子
    2010 年 24 巻 2 号 p. 253-256
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/07
    ジャーナル 認証あり
  • 相原 雄幸
    2010 年 24 巻 2 号 p. 257-264
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/07
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    食物依存性運動誘発アナフィラキシーはまれな疾患であるが,正しく診断し原因食物を同定することができれば患者のQOLを飛躍的に向上させることができる.確定診断には,疑わしい食物の除去試験だけでは不十分なことも多く,最重症例を除き,誘発試験を実施することが望ましい.しかしながら,これまで標準的誘発試験法は確立されておらず,さらに誘発試験の陽性率が高いとは言えないため,原因食物の同定は必ずしも容易ではなかった.
    平成21年4月に日本小児アレルギー学会から食物アレルギー負荷試験のガイドライン2009が発刊され,その中に食物依存性運動誘発アナフィラキシーの誘発試験の標準的方法を記載した.そこで,ここではこの標準的誘発試験法について紹介し,今後の診断率の改善により患者のQOL向上に貢献できることを期待している.
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