日本小児アレルギー学会誌
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喘息死委員会報告
喘息死委員会レポート2009
赤坂 徹松井 猛彦坂本 龍雄末廣 豊鳥居 新平西間 三馨三河 春樹
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2010 年 24 巻 5 号 p. 763-774

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抄録

我が国の喘息死は小児,成人共に減少傾向にあり,喘息死亡率も減少してきている.日本小児アレルギー学会・喘息死委員会宛に2009年10月までに,気管支喘息があって死亡し登録された症例は222例で,対象外を除いて,新規症例3例を加えて202例について解析した.
死亡前の喘息重症度は不明・無記載を除くと,軽症28%,中等症29%,重症43%であり,発作重症化に関わる要因として,入院歴が52%に認められたが,意識障害を来たすほどの重症発作,挿管,isoproterenolによる治療の既往は少なかった.喘息死に関与した要因では,予期できない急激な悪化,適切な受診時期の遅れが最も多く,次いで患者・家族の判断の誤り,怠薬,薬物過剰が挙げられた.適切な受診時期の遅れを来たした要因として,患者・家族による判断の誤りが多く,短時間作動性β2刺激薬を加圧噴霧式定量吸入器(pMDI)やモーターネブライザー(MoNe)による過度依存の順であった.薬物療法について,1997年以前の死亡例を1998年以降と比較すると,キサンチン製剤とβ刺激薬の内服,自宅でのMoNe吸入,pMDIはやや減少し,吸入ステロイド(ICS)はやや増加傾向にあるものの31%に留まっていた.学校環境での喘息死12例をまとめると,トイレ内が3例,運動に関連したものが3例,学校内で発作があって医療機関を受診途中が3例,学校活動中が2例,帰宅途中が1例であった.

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© 2010 日本小児アレルギー学会
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