日本小児アレルギー学会誌
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原著
メトヘモグロビン血症を合併した消化管アレルギーの1例
王 茂治西庄 佐恵田口 智英木村 光明
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ジャーナル 認証あり

2011 年 25 巻 1 号 p. 98-103

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抄録
メトヘモグロビン血症を合併した消化管アレルギーの1ヶ月男児を経験した.初診時,患児は,発熱,嘔吐,下痢,発育障害,顔色不良,チアノーゼなどの症状を呈し,血液検査ではCRP上昇に加え,32.4%と著明なメトヘモグロビンの増加が認められた.メトヘモグロビン血症を含め全ての症状・所見は育児用牛乳調製粉乳(普通ミルク)を中止することで改善した.治療の目的で大豆乳を与えたところ症状が再発したが,アミノ酸調整乳では症状の再発はみられなかった.アレルゲン特異的リンパ球刺激試験では,牛乳蛋白(κ-カゼイン)に陽性反応がみられた.生後2ヶ月時に普通ミルクで負荷試験を実施したところ,発熱,嘔吐,下痢とともにメトヘモグロビン血症が再現した.メトヘモグロビン血症は稀な合併症であるが致命的な経過をとることもあるので,顔色不良の難治性下痢患者を診療する際には十分に注意を払う必要がある.
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© 2011 日本小児アレルギー学会
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