日本小児アレルギー学会誌
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合同シンポジウム4 周産期環境とアレルギー/Perinatal Environment and Allergy
アレルギー疾患発症における腸内細菌ビフィズス菌の役割―乳幼児アトピー性皮膚炎におけるオリゴ糖のプレバイオティクス効果
柴田 瑠美子古賀 泰裕
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2012 年 26 巻 1 号 p. 99-104

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抄録

背景:アレルギー疾患の増加には乳児の消化管免疫に関わる微生物の働きの減弱が関連している可能性が指摘されている.そのため,これまでアトピー性皮膚炎における乳酸菌などによるプロバイオティクス効果について多くの検討がなされている.最近,アトピーリスク児におけるオリゴ糖によるプレバイオティクス効果として皮疹発症頻度の低下と腸内ビフィズス菌の増加が報告された.オリゴ糖は難消化性で消化管のビフィズス菌増殖作用がある.目的:オリゴ糖ケストースによる乳幼児アトピー性皮膚炎へのプレバイオティクス効果をRCTにて検討した.方法:食物アレルギーを有する乳幼児アトピー性皮膚炎の便中ビフィズス菌を検査し,12例のビフィズス菌低下児にケストースを12週間投与し,皮疹とビフィズス菌の変化を検討した.29例ではRCTによる効果を同様に検討した.結果:ビフィズス菌は皮疹重症例で低下し,皮疹重症度と逆相関していた.ビフィズス菌低下児へのケストース投与で6週より12週にビフィズス菌増加と皮疹改善効果がみられた.RCTでは,プラセボに比して有意に皮疹重症度の改善がみられ,ビフィズス菌低下群で有意のビフィズス菌増加がみられた.結論:オリゴ糖によるプレバイオティクス効果の機序は明らかでないが,ケストースは腸内細菌叢の健全化と消化管の透過性改善に直接関与する可能性がある.

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© 2012 日本小児アレルギー学会
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