日本小児アレルギー学会誌
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原著
Component-resolved diagnostics(CRD)を用いて診断した,シラカンバ花粉と大豆加工品によるpollen-food allergy syndromeの一女児例
杉山 剛斎藤 圭一齋藤 翔杉田 完爾
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ジャーナル 認証あり

2012 年 26 巻 2 号 p. 251-257

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抄録
症例は12歳女児.7歳頃からアレルギー性鼻炎あり,10歳頃より生のナシ,モモ,サクランボ,イチゴ,リンゴ,スモモ摂取時に口腔咽頭の掻痒感を認め,11歳時に口腔アレルギー症候群(OAS)疑いとして当科に紹介された.OAS症状は一時的で軽微であり,第二世代抗ヒスタミン薬の頓用で外来経過観察していた.12歳時に冷奴,枝豆,ナムル,豆乳などの加熱食品摂取時にも同様の症状が出現し,精査目的で当科に入院した.CAP-FEIA検査ではシラカンバ花粉,モモ,リンゴ,イチゴの特異IgE抗体陽性で,大豆特異IgE抗体は陰性であった.経口負荷試験では,もやし,非加熱豆腐,豆乳が陽性であったが,軽度の咽頭掻痒感以外に多覚所見に乏しく確定診断に至らなかった.Component-resolved diagnostics(CRD)を用いたアレルゲンコンポーネント解析を行ったところ,植物の生体防御タンパクであるPathogenesis related protein(PR)10ホモログに属する,Bet v1(シラカンバ花粉),Pru p1(モモ),Gly m4(大豆)のみが陽性であった.既存のアレルギー検査法では確定診断に至らなかったがCRDを用いることでシラカンバ花粉と,大豆の交差反応によるPFASと診断しえた.
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© 2012 日本小児アレルギー学会
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