抄録
目的:インフルエンザワクチンは微量の鶏卵蛋白を含有し,鶏卵アレルギーがあると接種要注意者とされる.明確な接種可否の判断基準がないため,施設間や接種医により判断にばらつきがあり患者にも混乱を与えている.そこで鶏卵アレルギーのある児へのインフルエンザワクチン接種の現状を知るためにアンケート調査を行った.
方法:鶏卵アレルギーが現在あるまたは過去にあった児の保護者に対しアンケート調査を行い112名から回答を得た.
結果:鶏卵アレルギーを理由にインフルエンザワクチンの接種を受けられなかったことがある児が52.7%いた.1歳未満の群では保護者の判断で接種を見合わせたケースが多くある一方,1歳以上の群では除去の程度や誘発症状の程度に関わらず接種医から「アレルギーが専門ではない」などの理由で接種を断られたという回答が最も多かった.
結論:鶏卵アレルギーのある児が積極的に接種を受けられるためには,日本においてもエビデンスとなる安全性の検討と学会などからの接種判断基準の明示が必要であると考えられる.