抄録
新生児・乳児消化管アレルギーは多彩な症状を呈し,その鑑別診断は多岐に渡る.小児消化器専門外来を血便の精査目的に受診した新生児・乳児における大腸内視鏡検査と病理組織検査による消化管アレルギーの診断と治療経過を後方視的に検討した.
対象21例中76%(16例;日齢15~8ヶ月)が,病理組織検査で好酸球>20/hpfの浸潤を認め消化管アレルギーによるproctocolitis疑いと診断された.内視鏡所見は,リンパ濾胞過形成ないし斑状発赤を,主に直腸から左側結腸に認めた.牛乳抗原などの除去療法を行い,全例で症状は改善した.
血便を伴う新生児・乳児消化管アレルギーの診断において,内視鏡検査と病理組織検査は消化管アレルギー以外の消化管疾患を確実に鑑別でき,診断上の有用性は高いと考えられた.今後,病理組織の好酸球浸潤の基準,食物負荷試験,ALST,パッチテストなどとの比較検討が必要である.