日本小児アレルギー学会誌
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原著
気管支喘息児でのJapanese Pediatric Asthma Control Program(JPAC)と小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2012(JPGL2012)コントロール状態の評価との比較
清益 功浩河原 信吾柴田 優南部 光彦新家 興村上 義樹
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2013 年 27 巻 4 号 p. 548-556

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抄録
我々は,JPACの点数とJPGL2012のコントロール状態の評価との比較検討を行った.共同演者の施設にて2012年5月1日~6月30日の期間で,定期受診した気管支喘息児または保護者がJPACを記載し,医師がJPGL2012のコントロール状態を評価した.回答者数は95人で有効回答者数は87人であった.年齢の中央値は5歳(0歳~15歳)であった.JPACの結果は,15点25%,12~14点52%,11点以下23%を示した.長期管理薬は98%が使用し,そのうち,吸入ステロイド薬は47%,抗ロイコトリエン薬は87%で投与されていた.みかけ上の重症度は,間欠型53%,軽症持続型39%,中等症持続型8%であった.治療を考慮した重症度は,間欠型26%,軽症持続型35%,中等症持続型24%,重症持続型13%,不明2%であった.コントロール状態の評価の比較的良好群,不良群では,良好群と比較して,JPACの点数は有意に低かった(p<0.001).コントロール状態の評価が不良である22人中,JPAC12~14点が10人みられ,コントロール状態の評価が比較的良好である28人中,JPAC 11点以下が8人みられた.コントロール状態とJPACに乖離が認められたため,JPACの不良となる基準点を現行の11点以外に12点と10点でも検討した.基準点を10点以下に設定すると,全体・陽性・陰性一致率がいずれも80%以上となり,コントロール状態の評価に近づくことが示唆された.コントロール状態とJPACとの間には乖離があることから,JPACを評価する際には注意が必要である.
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© 2013 日本小児アレルギー学会
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