抄録
患者中心の指標としてのQOLは,臨床試験のアウトカムとして重視されるべきである.本研究では掻痒を標的として抗ヒスタミン薬を治療介入に採用し,主要アウトカムをQOLとする試験を行った.対象はガイドラインに基づく外用療法を行っていた7~14才のアトピー性皮膚炎の小児23名で,追加治療として第2世代抗ヒスタミン薬レボセチリジンを投与,治療前,2週,4週後にThe Children's Dermatology Life Quality Index(CDLQI)日本語版によるQOL評価を行った(主要評価項目).副次評価項目はかゆみ日記による掻痒,SCORADスコアによる重症度とした.その結果,CDLQIは総スコアが2週,4週後で有意に低下(=改善),とくに痒み,睡眠,感情,治療負担の項目で有意であった.かゆみ日記による掻痒の週平均スコアも経時的に低下し,各評価ポイントで治療前より有意であった.SCORADによる重症度も有意に改善した.SCORADスコアとCDLQIスコアは有意に相関した(Spearmanの相関係数=0.43).以上,追加治療としてのレボセチリジンがアトピー性皮膚炎のQOL改善に有用である可能性と治療アウトカムにQOLを採用することの妥当性が示唆された.