日本小児アレルギー学会誌
Online ISSN : 1882-2738
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原著
鶏卵経口負荷試験陽性者に対する除去解除を目指した食事指導(第2報)
小林 貴江漢人 直之羽根田 泰宏安井 正宏前田 徹日野 明日香楳村 春江小田 奈穂伊藤 浩明
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2013 年 27 巻 5 号 p. 692-700

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抄録

【はじめに】鶏卵アレルギー児に対して,「食べられる範囲」を確認しながら除去解除を進める食事指導の方法を検討した.本稿では,筆者らが第1報で報告した食物経口負荷試験の結果に基づく定量的なアレルゲン摂取開始に引き続いて,摂取量を次第に増量する食事指導を行った児における,1年後の摂取状況について検討した.
【方法】卵白負荷試験陽性で,第1報で報告した基準により卵白2 g以上の摂取を開始した40人(月齢中央値35.5か月)を対象とした.食事日誌の記載を基に,5~10回症状なく摂取できれば約20%の増量を指導し,1年後に到達した摂取量を確認した.コントロール群として,本研究開始前に卵白経口負荷試験を行って対象者と同等の摂取開始量が見込まれた40人を,後方視的に検討した.
【結果】1年後に鶏卵1/2個以上を摂取できた患児は63%で,コントロール群15%より有意(p<0.01)に多かった.逆に,鶏卵1/20個以下に留まっていた患児は,対象者では1人(3%),コントロール群22人(55%)であった.
【まとめ】『食べられる範囲』を明確にした食事指導は,鶏卵の除去解除を促進する上で有効であった.

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© 2013 日本小児アレルギー学会
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