日本小児アレルギー学会誌
Online ISSN : 1882-2738
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原著
当科でアドレナリン自己注射器を処方した患者の実態調査
安井 正宏日野 明日香前田 徹小林 貴江羽根田 泰宏漢人 直之伊藤 浩明
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ジャーナル 認証あり

2013 年 27 巻 5 号 p. 684-691

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抄録

アナフィラキシーショックにおける治療の第一選択薬はアドレナリン筋肉注射であり,アドレナリン自己注射器として日本ではエピペン®が発売されている.今回,当科で2005年8月から2011年2月までに同薬を処方した117例(延べ211本)について,診療録の後方視的調査とアンケート調査を行った.初回処方年齢は2.5歳から27.8歳(中央値7.0歳)で,処方理由となった食物アレルゲン(複数回答あり)は,鶏卵(56名),牛乳(55名)の順に多かった.使用例は6例(5.1%)で,4例はプレホスピタルケアとして使用されたが,2例は病院受診後の使用であった.また,学校で床に落として発射された事故を1件認めた.保護者と12歳以上の本人に対するアンケート結果より,アドレナリン自己注射器の使用判断が難しいこと,自宅での反復練習をする患者が少ないことが示された.また,半数近い保護者は,園・学校にエピペン®使用を含む対応マニュアルがあるかどうかを把握していなかった.今回の調査より,自己注射器処方時の患者教育だけでなく,継続的な指導の重要性が示唆された.

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© 2013 日本小児アレルギー学会
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