抄録
近年,"(旧)茶のしずく石鹸"(悠香)に含有されていたグルパール19S(片山化学工業研究所)という加水分解コムギ(Hydrolyzed wheat protein, HWP)への経皮経粘膜感作が原因で,経口コムギアレルギー患者が多く発症し社会問題になっている.HWPによるアレルギーの報告は,文献上は2000年頃から主に欧州の医師から報告され始めており,決して日本に固有の問題ではない.本邦では2009年ごろからグルパール19Sにより本疾患の流行が始まり,2010-2011年に自己回収・社会問題化して現在に至る.なぜグルパール19Sを含有する洗顔石鹸でこのように多くの患者が出てしまったのかを明らかにするため,現在様々な研究が進行中である.本稿では,欧州,本邦からPublishされた加水分解コムギアレルギーに関する報告をレビューし最新の知見まで含めて概説したい.