抄録
小児の気管支喘息患者の約90%はダニに感作されており, ハウスダスト, ダニは気管支喘息の重要な増悪因子である. ダニ対策としての環境整備の指導は必須であるが, 臨床の場では, 環境指導による臨床的効果も, 明らかなダニ特異的IgEの低下も, みられることは少ない. 今回われわれは, 4~11歳のダニに感作されている気管支喘息小児16名について, まず家庭の大掃除を行った後, 8名には専用のモップ貸し出しと毎月の専門スタッフによる掃除の指導・提案を行い, 他の8名は従来の掃除を続けた. 開始前と1年後のダニアレルゲン量は, 布団と寝室床では有意差がなかったが, リビング床では掃除介入群で有意に低下した. 介入群では, ハウスダスト, ダニ特異的IgE値が有意に低下した. 発作点数と治療点数には2群の有意差はなかった. 専用の掃除道具による掃除の提案と専門スタッフの指導によるアレルゲン低減は, ダニ特異的IgEの低下に寄与する可能性が示唆された.