抄録
好酸球性胃腸炎は, 消化管に好酸球が異常集積することで慢性炎症を惹起する好酸球性消化管疾患の部分症であり, 小児の報告例は少ない. 【症例1】9歳男児. 3歳時からアトピー性皮膚炎と診断され改善が乏しいため, 8歳時に当科を受診した. 受診時, 血清非特異的IgE値, 末梢血好酸球数の高値を認めた. 鶏卵の過剰摂取で嘔吐や下痢を生じるため卵アレルギーに伴う好酸球性消化管疾患を否定できず, 消化管内視鏡検査を施行, 好酸球性胃腸炎と診断された. 診断後, 鶏卵の摂取量制限と抗アレルギー薬の内服加療を行い, 検査値, 症状ともに改善した. 【症例2】4歳男児. 1歳0か月に鉄欠乏性貧血と診断され加療するも改善せず, 1歳7か月, 血便の精査目的に当科を受診した. 受診時, 末梢血好酸球数の増多を認めた. 便症状の精査のため消化管内視鏡検査を施行, 好酸球性胃腸炎と診断された. 原因抗原の同定がむずかしく, 副腎皮質ステロイドにより便症状は改善したが, 副腎皮質ステロイドを中断できていない. 好酸球性胃腸炎は, 症例ごとに重症度の差がある疾患と認識する必要がある.