日本小児アレルギー学会誌
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シンポジウム3 新生児・乳児消化管アレルギーの病型分類と重症度分類~有効性と有用性~
新生児–乳児消化管アレルギー, クラスター分類について
野村 伊知郎
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2016 年 30 巻 1 号 p. 27-32

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抄録

新生児–乳児消化管アレルギーは2000年前後から急激な増加をみている. 症状は嘔吐, 血便, 下痢, 腹部膨満などがあるが, 体重増加不良が唯一の症状のこともある. 非即時型の食物アレルギーによって起こる消化管炎症が本態である. 食物特異的IgE抗体が主体ではないため, 精度の高い診断検査がないこと, また欧米の類縁疾患と臨床像が異なる患者が多いことから, 診断治療が遅れ, 重大事象に至ることもある. 消化管は食道からはじまり直腸に至る. 本症はさまざまな病変を示すが, いくつかのグループに分かれるのではないかと仮説を立て, クラスター分析を行ったところ, 嘔吐と血便の有無によって4つの患者グループ (クラスター) に分かれた. すなわち, 嘔吐と血便を起こすクラスター1, 嘔吐があり血便のないクラスター2, 嘔吐も血便もないクラスター3, 嘔吐がなく血便があるクラスター4である. これらのクラスターはそれぞれ検査結果にも特徴があり, 単なるフェノタイプではなくエンドタイプとさえいえる. 診断治療を行ううえで有用な分類である.

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© 2016 日本小児アレルギー学会
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