日本小児アレルギー学会誌
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倫理解説
臨床研究で求められる倫理とは—倫理指針をふまえて—
薄井 紀子
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2016 年 30 巻 2 号 p. 198-205

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抄録

臨床研究の目的は, 疾病の発症機序・原因・病態の解明や治療・予防の改善につながる種々の知識・知見を習得し一般化させて, 医学・医療を進歩させることである. 研究者は, 研究参加者の人権保護および福利の配慮を最優先事項とし, 倫理的で意義ある臨床研究を遂行しなければならない. 過去に施行された非倫理的臨床研究の反省から策定された, ニュルンベルグ綱領, ヘルシンキ宣言, ベルモントレポートなどで提示された倫理的事項を踏まえ, 米国を中心に臨床研究の7つの倫理原則が打ち出された. すなわち, 臨床研究は, ①社会的および臨床的意義がある, ②科学的妥当性がある, ③適正な被験者選択をする, ④適正なリスク・ベネフィットバランスをもつ, ⑤独立した第三者による審査を受ける, ⑥インフォームド・コンセントを得る, ⑦研究参加者を尊重する, という7つの倫理要件を満たす必要があるとするものである. 国内の臨床研究の新しい倫理指針「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」では, 研究の基本方針のなかでこの7原則と同様の要件が示されている. これら倫理指針を遵守した臨床研究について検討する.

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© 2016 日本小児アレルギー学会
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