日本小児アレルギー学会誌
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総説
喘息に対する分子標的治療の現状と展望
長瀬 洋之
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2017 年 31 巻 2 号 p. 165-173

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抄録

 喘息に対する分子標的治療は, マスト細胞を脱顆粒させるIgE, 好酸球を直接活性化するIL-5など, エフェクター細胞の活性化因子への介入からはじまり, 現在抗IgE抗体 (オマリズマブ) と抗IL-5抗体 (メポリズマブ) が, 臨床使用可能となっている. IL-5抗体は, 好酸球性喘息に限定して使用することが重要である. その他のIL-5抗体 (レスリズマブ) もFDAで認可されている. 抗IL-5Rα抗体 (ベンラリズマブ) の臨床的有効性も報告されており, ADCC活性による好酸球減少効果を有するとされるIL-13については, IL-13単独の抗体よりも, IL-4とIL-13の双方を阻害する抗IL-4Rα抗体 (デュピルマブ) の有効性が期待されている. これらの臨床試験は, 第3相に達している.

 最近は, さらに炎症機構の上流に位置する, Th2分化や活性化への介入が模索されており, CRTH2阻害, TSLP抗体, TLRリガンドについて検討されている. まだ第1~2相試験の段階にあり, 今後の検討がさらに必要である.

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© 2017 日本小児アレルギー学会
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