日本小児アレルギー学会誌
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喘息治療・管理ガイドライン委員会報告
CQ4 小児気管支喘息患者において吸入ステロイド薬 (ICS) で長期管理中のステップアップとしてロイコトリエン受容体拮抗薬 (LTRA) の追加は有用か?
真部 哲治村井 宏生高岡 有理荒川 浩一
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2017 年 31 巻 2 号 p. 224-230

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抄録

 【目的】吸入ステロイド薬 (ICS) を服薬中にもかかわらずコントロールが不良の喘息児に対するロイコトリエン受容体拮抗薬 (LTRA) 追加の有用性を検討する.

 【方法】1歳から20歳未満のICSを服薬中の喘息児に対して, LTRAを追加する群としない群で無作為比較対照研究を行っている文献を抽出し, システマティックレビューを行った. 経口ステロイド薬を要する急性増悪をきたした人数を主要評価項目とした.

 【結果】3編が採用され, 年齢はいずれも6歳以上, ICSはbudesonide 200~400μg/日もしくは, fluticasone 200μg/日が使用されていた. 主要評価項目は2編 (601例) で解析し, 有意差を認めなかった (相対リスク0.93, 95%信頼区間0.46~1.87, p=0.79).

 【結論】6歳以上で中用量相当のICSを服薬例へのLTRA追加は, 急性増悪を抑制せず, 画一的な治療としては推奨しない. しかし, 低用量のICS服薬例, 感染による増悪の多い5歳以下の患児や遺伝子タイプによっては有用な可能性があり, 現状ではICSへの追加治療の選択肢の1つに位置づけられる.

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© 2017 日本小児アレルギー学会
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