日本小児アレルギー学会誌
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ガイドライン解説:食物アレルギー診療ガイドライン2016
第5章 食物アレルゲン
岡藤 郁夫近藤 康人
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2017 年 31 巻 3 号 p. 288-296

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抄録

 食物アレルゲンの本体は, 大部分が食物に含まれるタンパク質である. 食物アレルギーを理解する上で食物アレルゲンに関する知識は不可欠であり, そのタンパク質としての性質や機能を知ることで食物アレルギー診療の深みが増す.

 植物性食物アレルゲンの多くは4つのタンパク質スーパーファミリー (プロラミン, クーピン, Bet v 1ホモログ, プロフィリン) に, 動物性食物アレルゲンの多くは3つのタンパク質スーパーファミリー (トロポミオシン, パルブアルブミン, カゼイン) に属している. 前者に関しては, 大豆を例にすれば, WHO/IUISで登録されている8つのアレルゲンコンポーネントのうち, 6つが4つのタンパク質スーパーファミリーに含まれている. 後者については, いずれも熱処理に強く, 広汎な種類の動物に交差抗原性を示す. その他, 鶏卵と小麦に関しては, 7つのタンパク質スーパーファミリー以外の食物アレルゲンタンパク質ファミリーが含まれるのではあるが, それぞれは個別にタンパク質としての性質と機能を確認して理解を深める必要がある.

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© 2017 日本小児アレルギー学会
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