2018 年 32 巻 1 号 p. 136-143
【目的】アドレナリン自己注射器 (エピペン®) の適切な取扱いに関係する要因を検討する.
【対象】2015年6月から2016年1月にエピペン®を更新した97名を対象とした. 更新までの間エピペン®の取扱いが不適切だった 「取扱い不適切群 (26名) 」 (不適切使用7名, 使用期限超過19名) と不適切な取扱いがなかった 「取扱い適切群 (71名) 」 の2群に分け, その結果と患者背景, 小児アレルギーエデュケーター (PAE) の介入について比較検討した.
【結果】取扱い適切群でPAEの介入が有意に多かった. 使用期限超過の中央値は2か月であった. 不適切使用は, 7名中6名の児においてエピペン®への興味に起因した行動であった. 多重ロジスティック回帰分析の結果, PAEの介入, エピペン®の複数所持はエピペン®の適切な取扱いの独立した因子で, アナフィラキシー複数回既往は不適切な取扱いの独立した因子であった.
【結論】エピペン®の適切な取扱いにPAE介入の有用性が示唆された. 指導時に不適切な使用例の詳細を医療者・患者間で共有することで不適切な取扱いを減少できる可能性がある.