2018 年 32 巻 1 号 p. 127-135
近年, 食物アレルギーに関する講習会を複数回受講する機会が増加している. しかし, 複数回受講することで食物アレルギーの理解がどのように改善するかを検証した報告は少ない. 福井県内の教員225名を対象に食物アレルギーに関する講習会の受講前後にアンケート調査を行い, 受講回数が理解度に及ぼす影響を解析した. 受講回数が多いほど食物アレルギーやアドレナリン自己注射薬の使用に関する理解度が増加した. 複数回の受講者であっても講習前に比べ講習直後に呼吸器症状や腹部症状の重症度の認識に改善を認めた. また, 講習直後であっても重症の呼吸器・腹部症状を認める場合に救急車要請を行うと回答した者が7割に満たなかった. アナフィラキシー対応に関する理解度は過去の受講回数にかかわらず低かった. 呼吸器症状や腹部症状の重症度を正しく認識させ, その認識を受講後も長期間維持させることが課題と考えられた. 認識しにくい呼吸器・腹部症状に重点をおいた反復講習や緊急時アクションプランの策定が必要である.