日本小児アレルギー学会誌
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シンポジウム1:小児アレルギー疾患と虐待
子ども虐待 : 日常診療における 「気づき」 と 「否認」
溝口 史剛
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2018 年 32 巻 2 号 p. 173-176

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抄録

 虐待という言葉は極めて強烈であるがゆえ, 親自身が虐待をしている認識がなく, 子どもも自身の状況を不当と思っていないことは少なくない. それゆえ客観的評価をしうる医療者の積極的対応が重要である. しかしその対応にはさまざまなリスクが伴うため, 否認・矮小化が生じやすい. もちろん否認も矮小化も, 「気づき」 がない限り生じない. 不適切養育に対し積極的支援が必要な子どもは2%程度と決してまれではない. アレルギー診療では, アトピー性皮膚炎におけるsteroid phobiaを誰しも経験しているであろう. ただこの問題は, 医療者が辛抱強く教育することで8割以上解決に向かう. 一方, 信念が修正不能なほど強固で心身への影響が懸念される場合, 医療者のみでの対応は困難である. 重篤事例の対応は経験がものをいうが, このような経験は日常臨床で養育の問題に丁寧に接することで十分に積むことはできる. 一方, 医療者の通告を促進する強い強化因子となるのは 「医学生教育の充実」 と 「院内虐待対応チームの存在の認知」 である. 小児医療提供体制上の問題として体制整備を進めることの重要性を強調したい.

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