2018 年 32 巻 2 号 p. 192-196
小児アレルギー科の心理相談で虐待が主訴となることは少なく, 心身の不調, 発達や子育て上の心配, 学校生活上の相談などが中心である. 通常は, 相談により, 少しずつ症状が軽減されていく. しかし, いつもと異なり 「何かうまく進まない」 感じが生じる場合がある. 支援者側には 「距離をおきたい気持ち」 が強まるが, この 「関係構築の難しさ」 の背景に, 相談者側にある安定した対人関係の結びにくさが関連している場合がある.
そこで, 「何かうまくいかない感じ」 を要支援のサインとして, 「ゆっくり, 丁寧, 穏やかな会話」 「暴力的でないこと」 「公平 (子どもに重点をおきすぎない) 」 「恒常性の提供」 「約束が守られる」 「頼りになるものはなくならない, と信じてもらうこと」 などのかかわりを強める. さらに, 少しでも困難が軽減することを目指して, 実現可能なスモールステップを設定して, 働きかける.