日本小児アレルギー学会誌
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シンポジウム1:小児アレルギー疾患と虐待
アレルギー疾患と代理ミュンヒハウゼン症候群
宮本 学吉原 重美
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2018 年 32 巻 2 号 p. 185-191

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抄録

 代理ミュンヒハウゼン症候群 (Munchausen’s syndrome by proxy : MSBP) は, 養育者が子どもを病気に偽装し, 必要のない検査や治療を繰り返す, 子ども虐待の一形式である. 1977年に提唱されて以来, 数多くの症例が国内外から報告されている. 放置すると致死的となる可能性があるため, 長期の経過観察が必要である. アレルギー疾患を偽装するMSBP症例も認められ, 対応に苦慮することが多い. 日常診療の中で当疾患を疑い, 単独で長期にわたり観察することには限界があるため, 虐待対応チーム (child protection team : CPT) や児童相談所, 市町村, 学校など地域全体で情報共有を行うことで, 被害者である子どもの安全を守ることが望ましい. この連携をうまく行うための仕組みづくりが急務といえる. 本稿では, 自験例を交え, どのようにMSBPへ対応していくかを考察する.

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© 2018 日本小児アレルギー学会
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