2018 年 32 巻 4 号 p. 698-708
アレルゲンは本来, アレルギー患者のIgEと結合してアレルギー症状を引き起こす分子であるが, 近年ダニアレルゲンが気道上皮や皮膚ケラチノサイト, また免疫系細胞にもさまざまな影響を及ぼしていることが報告されてきた.
Der 1はシステイン・プロテアーゼであり, 糞に大量に存在している. Der 1はプロテアーゼ活性によってTh2アジュバントとして作用し, また上皮のバリアを傷害してIL-33を誘導し, さらに上皮細胞や好塩基球, 好酸球なども刺激する可能性が報告されている.
Der 2はMD-2と相同性を有しており, LPSとともにTLR4を刺激して, 自然免疫反応を誘導する可能性が報告されている.
Der 3, 6, 9はセリン・プロテアーゼであり, 気道上皮やケラチノサイト, 樹状細胞などのprotease-activated receptor-2を介してさまざまなサイトカイン, ケモカインを誘導する可能性が報告されている.
そのほかのダニアレルゲンコンポーネントについても最近の知見を簡単に紹介する.