日本小児アレルギー学会誌
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原著
特異的IgEの相関係数を参考にした食物経口負荷試験で除去を解除できたナッツアレルギー8例の検討
上村 義季戸張 公貴藤原 摩耶
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2019 年 33 巻 2 号 p. 189-194

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抄録

 【目的】ナッツ類の特異的IgE抗体の相関係数を参考に, 複数種のナッツの食物経口負荷試験を施行し, ナッツアレルギー患者の不要な除去を回避しうるか検討した.

 【方法】対象は2015年3月から2018年8月の間に, ナッツアレルギーとして複数種のナッツが除去されていた者のうち, 3種類以上のナッツの経口負荷試験を施行した8人で, 経口負荷試験計32例. 経口負荷試験は原因のナッツとそれ以外のナッツの特異的IgE抗体の相関係数が0.5未満の場合に施行した. これらの症例について, ナッツの臨床的な交差反応の有無を後方視的に検討した.

 【結果】原因のナッツ以外の経口負荷試験が陽性であったのは8人中1人で, その他7人は原因以外のナッツの除去を解除できた. 原因のナッツの経口負荷試験を施行した3人中3人が陽性であった.

 【結語】特異的IgE抗体の相関係数を参考にした経口負荷試験は, ナッツアレルギー患者の不要な除去解除に有用である可能性があるが, 複数種のナッツアレルギーを合併している患者もおり, 慎重な鑑別が必要である.

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© 2019 日本小児アレルギー学会
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