日本小児アレルギー学会誌
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33 巻, 2 号
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原著
  • 尾辻 健太, 酒井 一徳
    2019 年33 巻2 号 p. 175-179
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/30
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     子持ちシシャモ (Mallotus villosus〔カラフトシシャモ, 別名 : カペリン [以下, シシャモ] 〕) 経口摂取によるアナフィラキシーを2例経験したので報告する. 2例とも食物アレルギーの既往はなく, シシャモ摂取歴は不明であった. 1例目は6歳男児. シシャモなど摂取後アナフィラキシーをきたした. シシャモの皮膚プリックテスト (SPT) の結果, 生では身は陰性で卵は強陽性, 加熱では身・卵とも陽性であった. 焼いたシシャモの食物経口負荷試験 (OFC) では, 身と卵のOFCいずれもアナフィラキシーをきたし, 卵ではアドレナリン筋注を要した. イクラ, タラコはともに特異的IgE陰性かつOFC陰性であった. 2例目は7歳男児. シシャモなど摂取後眼瞼腫脹あり. 加熱シシャモのSPTは身で陰性, 卵で弱陽性であった. 焼きシシャモOFCの結果, 身は陰性であったが, 卵はアナフィラキシーを認めた. イクラは自宅で症状なく摂取可能で, タラコOFCは陰性であった. 以上より, シシャモ卵独自のアレルゲンが存在する可能性があると考えられた.

  • 伊藤 靖典, 長尾 みづほ, 村井 宏生, 福家 辰樹, 手塚 純一郎, 佐藤 さくら, 藤澤 隆夫, 足立 雄一, 日本小児アレルギー学会 ...
    2019 年33 巻2 号 p. 180-188
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル 認証あり

     【目的】小児アレルギー診療の均てん化を目的とした小児アレルギースキルアップコースにアクティブラーニングを導入し, その効果を検討した.

     【方法】卒後10年目以下の小児科医を対象としたコースにおいて, アンケート調査をコース前後と終了後6か月に施行し, 研修内容の評価ならびに学習到達度, アレルギー診療の行動変容を調査した.

     【結果】参加者は71名 (年齢 : 中央値31歳) であった. 研修内容について適切だったと回答した参加者は, ハンズオン, 教材内容, ニーズにおいて90%以上であった. 学習到達度 (1 : できる, 4 : できないの4段階評価) の平均値は, 前の2.4±1.0から終了後には1.4±0.6とすべての項目において有意な改善がみられた (p<0.05). 行動変容に関しては, アレルギー検査の適切なタイミング, 呼吸機能検査, アトピー性皮膚炎の重症度評価, スキンケア, 食物アレルギーの必要最小限の除去指導において終了後6か月に有意な改善がみられた.

     【結語】本コースによる実臨床での小児アレルギー診療への活用が確認された.

  • 上村 義季, 戸張 公貴, 藤原 摩耶
    2019 年33 巻2 号 p. 189-194
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル 認証あり

     【目的】ナッツ類の特異的IgE抗体の相関係数を参考に, 複数種のナッツの食物経口負荷試験を施行し, ナッツアレルギー患者の不要な除去を回避しうるか検討した.

     【方法】対象は2015年3月から2018年8月の間に, ナッツアレルギーとして複数種のナッツが除去されていた者のうち, 3種類以上のナッツの経口負荷試験を施行した8人で, 経口負荷試験計32例. 経口負荷試験は原因のナッツとそれ以外のナッツの特異的IgE抗体の相関係数が0.5未満の場合に施行した. これらの症例について, ナッツの臨床的な交差反応の有無を後方視的に検討した.

     【結果】原因のナッツ以外の経口負荷試験が陽性であったのは8人中1人で, その他7人は原因以外のナッツの除去を解除できた. 原因のナッツの経口負荷試験を施行した3人中3人が陽性であった.

     【結語】特異的IgE抗体の相関係数を参考にした経口負荷試験は, ナッツアレルギー患者の不要な除去解除に有用である可能性があるが, 複数種のナッツアレルギーを合併している患者もおり, 慎重な鑑別が必要である.

総説
  • 堀口 高彦, 近藤 りえ子
    2019 年33 巻2 号 p. 195-203
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル 認証あり

     喘息治療において吸入薬は必要不可欠であるが, 内服薬と異なり, 吸入操作が正確に行われないと気管に到達せず期待される効果が得られない危険性がある. 筆者らは, 成人気管支喘息において, 視覚で確認できる吸入操作だけではなく, 視覚で確認できない口腔内の舌の位置にまで細心の注意を払うことによって薬剤の気管内への到達率を上げ, 臨床効果につながることを示唆している. 筆者らは, 2015年にわが国で販売されている全種類の吸入薬の操作方法を 「正しい吸入方法を身につけよう」 と題して1枚のDVDとポスターにまとめ, 無料で全国に配布できるようにした. これは 「喘息予防・管理ガイドライン2015」 以降に掲載されており, 全国の吸入指導の均霑化に不可欠な教材と考えている. これは成人のみならず, 小児領域においても役立つと考える. これらの内容を含め, 成人だけではなく, 小児領域においても効率的な吸入指導について概説した.

  • 湯田 厚司
    2019 年33 巻2 号 p. 204-211
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル 認証あり

     2018年にスギ花粉とダニの舌下免疫療法が小児適用となり, 早期からの治療が可能となった. 現在, スギ花粉とダニの各々で2製剤が保険適用であり, 薬剤により維持アレルゲン量に大きな違いがあるが, 小児であっても治療法や投与量は成人と同じである. 筆者はこれまでに1,300例以上 (成人例含む) の治療経験があり, これまで毎年のスギ花粉飛散期の良好な成績を報告してきた. また, 数多くの小児例も治療しており, 小児でも成人と同様のよい効果を期待できると考える. これまでの筆者経験に基づき, 治療年齢の考え方, アドヒアランス向上, 長期休薬への対応, 副反応軽減への工夫, スギ花粉とダニの重複抗原例の治療などについて, 小児例で安全で効果的に治療継続するための重要なポイントを概説した.

ガイドライン解説:小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2017
  • 手塚 純一郎, 二村 昌樹, 亀田 誠
    2019 年33 巻2 号 p. 212-220
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/30
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     「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン (Japanese Pediatric Guideline for the Treatment and Management of Asthma : JPGL) 2017」 における, 急性増悪 (発作) への対応について概説した. 今回の改訂で, これまで急性発作と呼称していたものを気管支喘息は気道の慢性炎症性疾患であることをより重要視し, 国際的にも “attack (発作) ” とは記載されなくなってきていることを鑑み 「急性増悪 (発作) 」 とした.

     治療方針決定のために必要な発作強度判定を行いやすくすることを目的とし, 新たに発作強度判定表を作成し判定基準を明確化した. これまで乳児喘息は別章に記載されていたがJPGL2017より記載が1つの章へ統一され, 短時間作用性β2刺激薬 (short acting beta2-agonist : SABA) の吸入量が体重によらず一定量を使用することが示された. また, システマティックレビューにより, 急性増悪時の吸入ステロイド薬増量は推奨されず, SABA吸入はスペーサーを用いても電動式ネブライザーに劣らないことが示唆された.

     全身性ステロイド薬投与については最大投与量を示し, 静脈内投与と経口投与で効果は同等であること, 漫然と投与することは避けることとした.

  • 福田 啓伸, 吉原 重美
    2019 年33 巻2 号 p. 221-229
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル 認証あり

     「小児気管支喘息・治療管理ガイドライン2017」 (JPGL2017) の第9章は, 「乳幼児期の特殊性とその対応」 とされ, JPGL2012の第9章 「乳児喘息の急性発作と長期管理」 から変更となった.

     おもな変更点は, ①JPGL2017では5歳以下を乳幼児喘息とした. ②JPGL2017では, 「乳幼児喘息」 を, 5歳以下の反復性喘鳴のうち, 明らかな24時間以上続く呼気性喘鳴を3エピソード以上繰り返し, β2刺激薬吸入後に呼気性喘鳴や努力性呼吸・酸素飽和度 (SpO2) の改善が認められる場合に診断すると変更した. さらに, 乳幼児は学童期以降と比較して解剖学的・生理学的に異なるため, β2刺激薬に反応が乏しいものの呼気性喘鳴を認める症例に対しても, 「診断的治療」 を用いて 「乳幼児喘息」 と診断することに改訂された.

     本稿では, 乳児喘息と乳幼児喘息の違い, 乳幼児喘息の特徴・病態・発症要因・診断・推移, 喘鳴性疾患の病型分類 (フェノタイプ), 鑑別疾患について解説する.

  • 吉田 之範, 末廣 豊
    2019 年33 巻2 号 p. 230-233
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/30
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     第10章 思春期・青年期喘息は, いわゆる思春期に由来する問題と, 移行期医療という立場からという, 大きく2つの側面から述べている. まず, 思春期というのは小児が肉体的にも精神的にも成人へと大きく成長する時期という特徴があり, 喘息の病態も質的に大きく変化する. この病態的変化を基盤に, ①本人・家族の課題, ②医療, 学校などに関係する課題についてよく検討し, 患児自身が自立し主体的にかかわることができるような医療者の支援が大切である. 次に, 思春期から青年期の喘息の治療では, 移行期医療を意識する必要があり, これは本人・家族のよき理解を抜きにはあり得ない. 患児の年齢や成熟度に応じて, 患児自身の自立性や喘息に対する理解度を上げていく働きかけを行う必要がある.

  • 西本 創, 栗原 和幸
    2019 年33 巻2 号 p. 234-239
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/30
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     喘息の治療・管理において重要なことは, 喘息と類似した疾患の鑑別診断をしっかりと行いアレルギー性鼻炎・副鼻腔炎, 胃食道逆流症といった併存疾患の有無に注意を払うことである. さらにこれらの疾患は喘息の増悪因子ともなりうるため, 適切に治療を行う必要がある. その中でも, アレルギー性鼻炎に対してはダニ, スギに対する舌下免疫療法が低年齢から可能となり, アレルギーの自然経過を修飾しうることが期待される. アレルギーマーチとよばれる経過をたどることが知られている小児においては, 喘息だけではなくアレルギー疾患を包括的に治療・管理することが求められる.

知っておきたい最新のアレルギー・免疫学用語
社会保険委員会報告
  • 今井 孝成, 相原 雄幸, 岡藤 郁夫, 南部 光彦, 望月 博之, 本村 知華子, 山口 公一
    2019 年33 巻2 号 p. 263-272
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/30
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     【研究目的】日本小児アレルギー学会社会保険委員会は令和2 (2020) 年度診療報酬改定に向け, 小児アレルギー診療現場の実態に基づく申請を目的に, 申請予定項目に関する実態調査を行った.

     【方法】喘息治療管理料2 (既収載) , 小児アレルギー疾患療養指導料 (新規) , 小児食物アレルギー負荷検査 (既収載) に関して, 日本小児アレルギー学会にメールアドレス登録のある会員3,042名を対象に, Web調査を2019年2月に実施した. 食物経口負荷試験に関する調査は施設単位, それ以外は会員単位で実施した.

     【結果】会員対象調査の回収率は23.1%であった. 喘息治療管理料2の請求は “まったくしていない” が最も多く, “あまりしていない” と合わせ55.0%を占め, “知らない” も14.1%占めた. アトピー性皮膚炎の初診診療時間は一般診療の3倍以上5倍未満かかる割合が37.9%で最も多く, 同様に食物アレルギー初診診療は3倍以上5倍未満が45.7%で最も多かった. 患者1人あたりの年間食物経口負荷試験の実施数が “3回以上も制限なく実施している” が40.6%, “9歳以上も制限なく実施している” が56.3%で最も多かった.

     【結論】診療報酬改定の申請項目に関して, 申請を行う上で小児アレルギー診療実態に基づく基礎資料を得ることができた.

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