2019 年 33 巻 5 号 p. 702-708
【目的】軽症の鶏卵アレルギーにおいて除去解除に向けた方法を検討する.
【方法】2014年1月から2016年12月に加熱卵白10gの食物経口負荷試験 (OFC) で陰性となった軽症の鶏卵アレルギー児を対象とし, OFC後の鶏卵摂取状況, 誘発症状について後方視的に調査した. 食事指導による漸増は週に3回程度加熱卵白を摂取し症状がなければ2週間で10~20%増量するものとした.
【結果】133人を解析し, 食事指導による漸増あり/なし, と1年以内の加熱全卵1個OFCあり/なしで4群に分類し, A群 (漸増+, OFC+), B群 (漸増+, OFC−), C群 (漸増−, OFC+), D群 (漸増−, OFC−) とした. 1年後に加熱全卵1個摂取できた割合はA群84%, B群48%, C群81%, D群0%であった. 自宅での誘発症状は各群間で有意差を認めなかった.
【結論】加熱卵白10g摂取可能な軽症鶏卵アレルギー患者に対して, 食事指導による漸増はOFCに次いで有効であり, 危険性も増加しないことが示唆される.