2021 年 35 巻 3 号 p. 199-205
食物アレルギーの栄養食事指導は食物経口負荷試験に基づき,「必要最小限の原因食物の除去」を原則とし,食べられる範囲の指導を行うことが推奨されている.しかしアレルギー食品を安全に摂取するための指導法について検討した報告は少ない.
今回,食物経口負荷試験で症状が誘発されないと確認された量(以下,指示量と略す)以下のアレルギー食品の摂取でアナフィラキシー(anaphylaxis,以下Anと略す)症状を誘発した症例を診療録から後方視的に見直し,「食物経口負荷試験に基づいた栄養食事指導」において自宅での摂取時の注意点について検討した.
対象は2017年1月~2019年2月に当院にAnの診断で入院し,指示量以下のアレルギー食品の摂取で症状が誘発された8人.原因食品は牛乳7人,鶏卵1人だった.誘発要因として継続摂取ができていないことや,摂取時の体調,摂取後の運動などが考えられた.半数が指示食品を好まず指示通りの摂取ができていなかった.安全な摂取継続のためには,定期的なフォローが必要である.