2021 年 35 巻 3 号 p. 206-213
【目的】小児におけるハンノキ花粉抗原感作と口腔アレルギー症候群(OAS)の関係性を明らかにする.
【方法】2018年4月1日~2020年3月31日に当科にてハンノキおよびスギ特異的IgE抗体価を測定した15歳以下の小児を対象とし,OAS症状に関して後方視的な検討を行った.また上記期間のハンノキ花粉飛散時期におけるハンノキ花粉飛散量を測定した.
【結果】対象490人のうち,ハンノキ特異的IgE抗体価陽性者は165人(34%)であった.OAS群は41人(8.3%),非OAS群257人(52%),OAS不明が192人(39%)であり,OAS群のハンノキ特異的IgE抗体価は非OAS群に比べ有意に高かった.1シーズンあたりのハンノキ花粉平均飛散量(57個/cm3)は,スギ花粉(3,667個/cm3)に比べ少なかった.
【結論】都内のハンノキ花粉飛散量は非常に少なかったにもかかわらず,小児の34%で抗体価が陽性であり,ハンノキ特異的IgE抗体価の上昇とともにOAS有症者の割合が増加した.