日本小児アレルギー学会誌
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原著
弱加熱全卵負荷試験における結果との関連因子,安全性,および鶏卵特異的IgEの検査妥当性
―227例の後方視的検討―
土井 政明松原 祥高岩越 奈由高木 久美子佐々木 彩古市 康子
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2021 年 35 巻 3 号 p. 220-227

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抄録

鶏卵の抗原性は加熱で大きく変化する.今回,弱加熱全卵を用いた食物経口負荷試験(oral food challenge,OFC)における結果と各背景因子との関連性,安全性,および鶏卵特異的IgEの検査妥当性について後方視的に検討した.

弱加熱全卵OFC 227例(陽性47例)において,陽性群では有意に月齢とアレルギー性鼻炎合併率が高く(陽性45か月,21.3%;陰性31.5か月,5.0%),総immunoglobulin E(IgE)および卵白,卵黄,オボムコイド特異的IgEが高かった(陽性302IU/mL,7.98,1.29,4.86UA/mL,陰性131IU/mL,3.42,0.64,1.08UA/mL).誘発症状のグレードは中央値で2と比較的低かった.各鶏卵特異的IgEを受信者操作特性解析したところ,それらの陰性適中率が高かった.

鶏卵除去解除に弱加熱全卵OFCは有用である.弱加熱全卵OFCは比較的安全であるものの,年長児,アレルギー性鼻炎合併例,および鶏卵特異的IgEが高い症例に実施する際は,誘発症状の出現に注意が必要である.鶏卵特異的IgEが低値であれば除去解除できる可能性が高いと考えられた.

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© 2021 日本小児アレルギー学会
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