2021 年 35 巻 3 号 p. 214-219
【緒言】低出生体重児用ミルク:FM-LBWは,栄養価に優れるため,主に新生児集中治療室で使用される.
【症例】生後4か月の男児.胎児期から徐脈を指摘され,出産予定日の2日前から胎動減少と胎児水腫を認め,緊急帝王切開で出生となった.出生後,徐脈が原因で新生児仮死となり,新生児集中治療室に入室した.日齢10に全身状態の改善に伴いミルクを開始した.日齢19に発熱を認め,血液培養検査から敗血症と診断し,抗菌薬治療を開始した.日齢32にFM-LBWに変更したところ,発熱,および腹部膨満と嘔吐が出現した.感染症を疑い抗菌薬を継続したが,反応は乏しく,末梢血好酸球の著明な上昇(25.2%)を認めた.乳児消化管アレルギーを疑い,試験的にFM-LBWを除去し,母乳とミルクへ変更したところ,解熱と消化器症状の改善を認め,末梢血好酸球は低下した.
【考察】本症例の症状に関する明確な機序は不明であるが,FM-LBWに含有する乳タンパク量が多かったことが,症状誘発の原因として考えられた.