2021 年 35 巻 3 号 p. 279-303
背景:IgE依存性鶏卵アレルギーに対する経口免疫療法は,その効果,安全性についてコンセンサスが得られていない.
目的:IgE依存性鶏卵アレルギーに対する経口免疫療法の有用性,安全性についてシステマティックレビューにて評価すること.
方法:IgE依存性鶏卵アレルギー患者を対象とし,鶏卵の経口免疫療法と鶏卵完全除去を比較した無作為化比較試験について検討し,経口免疫療法の有用性と安全性についてメタ解析を行った.
結果:12の研究においてシステマティックレビューを行い,経口免疫療法群で鶏卵摂取可能量の増加した人数が完全除去群より有意に高く,有用性が示された.一方で,経口免疫療法群で有意に有害事象の頻度は高かった.
結論:IgE依存性鶏卵アレルギーに対して経口免疫療法の有用性が期待できる一方で有害事象の危険性も完全除去より高く,治療の選択肢の一つとして検討する際は安全性に十分配慮した上で行う必要がある.今後,経口免疫療法の実施プロトコールやその効果,安全性について更なる検討が必要である.