日本小児アレルギー学会誌
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原著
マダニ咬傷2日後に牛肉による遅発型アナフィラキシーが疑われたgalactose-α-1,3-galactose(α-Gal)syndromeの1例
吉川 英樹井上 博貴
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2021 年 35 巻 5 号 p. 436-441

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抄録

galactose-α-1,3-galactose(α-Gal)syndromeは,マダニ咬傷を契機に発症する獣肉アレルギーである.今回マダニ咬傷2日後に牛肉による遅発型アナフィラキシーが疑われた1例を経験したので報告する.症例は15歳女子.牛肉,豚肉,鶏肉をバーベキューで摂取して無症状だったが,2日後,同じ牛肉,豚肉を焼肉で摂取した5時間後にアナフィラキシーを発症した.特異的IgE値(UA/mL)は牛肉0.62,豚肉1.48,鶏肉は陰性だった.患者はネコを14匹飼育しており,複数回のマダニ咬傷歴を有し,アナフィラキシー発症2日前にもマダニに刺咬されていた.アレルゲンコンポーネント特異的IgE値はα-Gal 3.61でFel d 2とSus s 1は共に陰性だった.加熱豚肉負荷試験が陰性であったため,牛肉が原因と考えられた.本症は,獣肉摂取によるアレルギー症状の誘発歴のない患者が,マダニ咬傷を契機に発症し,遅発性にアナフィラキシーをきたしうるため,早期診断と適切な食事指導が重要である.

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© 2021 日本小児アレルギー学会
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