新生児―乳児食物蛋白誘発胃腸症は,新生児・乳児期にミルクまたは母乳を開始後,主として非IgE依存性のアレルギーの機序を介して消化器症状を呈する疾患である.当院で2016年から2021年までの6年間に出生し,本疾患と診断した31症例について後方視的に臨床的検討を行った.31症例中,28症例は治療として栄養法の変更で症状が改善した.残り3症例は栄養法の変更で部分的には症状が改善したが嘔吐症状が遷延した.これら3症例は上部消化管造影で胃食道逆流を認め,酸抑制剤・消化管運動機能促進剤などの追加や哺乳後の体位調整で症状の改善が得られたことから胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease:GERD)の合併と診断した.GERD合併と相関するリスク因子を同定することはできなかった.新生児―乳児食物蛋白誘発胃腸症と診断し,治療乳に変更後も嘔吐などの消化器症状が遷延する症例ではGERDなどの消化器疾患の合併を考慮することが重要である.