日本小児アレルギー学会誌
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シンポジウム 1:疫学データーからアレルギーマーチを考える
アレルギーに関する出生コホート研究からの知見
―成育コホート研究と子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)から―
齋藤 麻耶子山本 貴和子福家 辰樹大矢 幸弘
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2024 年 38 巻 1 号 p. 42-50

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抄録

アレルギー疾患が急増しているが,関連する因子の全貌はまだ明らかとなっていない.アレルギー疾患について,経年的に変化を捉え,曝露とアウトカムの因果推論を行うのに,観察研究として最もエビデンスレベルが高いのは,母集団に近づけた一般集団を対象として,後方視的ではなく,バイアスを防いで前方視的に追跡する出生コホート研究である.代表的な出生コホート研究として,国立成育医療研究センターにおける成育コホート研究と,日本で初めての全国規模の研究である子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)が実施されている.これらの調査研究から,日本人におけるアレルギー疾患発症の実態や,母体曝露も含めた様々な関連因子,また思春期を超えたアレルギーマーチの実態,昨今注目されている花粉・食物アレルギー症候群(PFAS)のアレルギーマーチにおける位置づけなど,様々な知見が明らかとなった.本稿では,これらの報告に基づいて,今までで明らかになってきた日本の子ども達のアレルギーマーチの実態や関連因子について,できる限りまとめたい.

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© 2024 日本小児アレルギー学会
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