日本小児アレルギー学会誌
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シンポジウム 1:疫学データーからアレルギーマーチを考える
WJSAAC第I~V相試験で見えてきた日本小児アレルギーの過去と今
西間 三馨
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2024 年 38 巻 1 号 p. 58-64

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抄録

WJSAAC(West Japan Studies of Asthma and Allergies in Childhood)は1982年の第I相試験の西日本11県の小学児童5万5千人から,2022年の第V相3万人まで10年ごとに同一手法・同一地区・同一小学校1~6年生で行われてきた.現在,解析中であるがその概略は,気管支喘息(BA)の有症率は第III相の6.5%をピークに減少に転じ第V相が最も低値となった.合併する他のアレルギー疾患はアレルギー性鼻炎(AR)が最も高く,次いでアトピー性皮膚炎(AD),アレルギー性結膜炎(AC),花粉症(P)であった.

我が国の小児アレルギーの前半世紀はBAの臨床・研究が中心であったが,合併するAD,AR,AC,食物アレルギー(FA)などにもエネルギーが注がれる様になり,いわゆる総合アレルギーとして取り組まれるようになった.その背景がWJSAACのアレルギー疫学結果にも伺われる.

有症率に変化を与える現在の種々の環境は変化が大きく,治療・管理法も含めた疫学手法の改変を要しているが,正確な継続した疫学調査はアレルギー疾患の将来計画を立てる為にも必須の作業であり国レベルの議論が急がれる.

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