日本小児アレルギー学会誌
Online ISSN : 1882-2738
Print ISSN : 0914-2649
ISSN-L : 0914-2649
ガイドライン解説:小児気管支喘息治療・管理ガイドライン 2023
第5章:長期管理
野上 和剛八木 久子伊藤 靖典長尾 みづほ
著者情報
ジャーナル 認証あり

2024 年 38 巻 3 号 p. 317-323

詳細
抄録

小児気管支喘息における長期管理は,薬物療法以外にも増悪因子への対応や患者教育等も重要であることから,JPGL2020の「長期管理に関する薬物療法」から,「長期管理」へとタイトルを変更した.改訂点として,治療と管理の両方の視点で目標を設定し診療を最適化すること,従来の評価・調節・治療の長期サイクルに「決定」を加え患者と保護者の主体的な診療参加・医療者との意思決定を促したこと,病診連携を明記し適正で効率的な診療を行い,難治性喘息の診療における位置づけを明確化したことがあげられる.薬物治療では,フルチカゾン・サルメテロール配合剤の添付文書の変更などを踏まえ,5歳以下の長期管理プランに吸入ステロイド薬/長時間作用性吸入β2刺激薬を追加した.また,新規に上市した抗TSLP抗体をはじめとした生物学的製剤の選択肢拡大を反映し,製剤選択の判断のためにフェノタイプを意識して併存疾患を考慮することを示した.吸入ステロイド薬については,全身への影響について留意した長期管理プランの位置づけへと変更を行った.

著者関連情報
© 2024 日本小児アレルギー学会
前の記事 次の記事
feedback
Top