日本小児アレルギー学会誌
Online ISSN : 1882-2738
Print ISSN : 0914-2649
ISSN-L : 0914-2649
小児気管支喘息に対する徐放性テオフィリン製剤 (テオドール®) の分2・分3投与による血中濃度の検討
椎貝 典子内村 公昭大谷 智子下田 恵子山崎 香栄子島貫 金男女川 裕司岡田 文寿鈴木 五男赤坂 徹前田 和一
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 1 巻 2 号 p. 48-53

詳細
抄録

徐放性テオフィリン製剤として, テオドール®を169名の喘息児 (男117名, 女52名, 平均年齢8歳11ヶ月) に体重kg当り16~19mg/日として4日間連続投与し, 最終投与4時間後に採血し, エンザイムイムノアッセイ法によってテオフィリンの血中濃度を測定した. 分2投与群の68名と分3群の101名の結果を比較すると, 血中濃度は8歳以下では分2群14.1±4.9μg/ml, 分3群11.8±3.6μg/ml, 9歳以上ではそれぞれ15.5±6.3, 14.0±4.6でいずれも有意差を認めなかった. 投与量と血中濃度は年齢群, 投与回数群別にそれぞれ有意な正の相関があった. 有効血中濃度の10-20μg/mlは分3群にやや多く, 20μg/ml以上は分2群に多かった. 投与量を少量増やしただけで血中濃度が大きく変動し, 嘔気嘔吐を認めた1例は分2投与であった. 従って徐放性テオフィリンであっても十分な効果が得られない場合, 血中濃度を測定して, 分3投与法を選択すべきと考える.
以上, 今回の結果より, 我々が現在考えるテオドールの初回投与量の目安を以下に示すが, 各患児への投与量は血中濃度を測定して, 臨床像に合わせて調整することが望ましい.
年齢 投与量分2投与 分3投与
8歳以下 6-7mg/kg/回 4-5mg/kg/回
9歳以上 5-6mg/kg/回 3-4mg/kg/回

著者関連情報
© 日本小児アレルギー学会
前の記事 次の記事
feedback
Top