抄録
近年, in vitro の新しい抗原検索法として, 臨床においても使用されてきた, ヒスタミン遊離試験 (HRT) の有用性について検討を行った. 小児アレルギー疾患患児のべ280名に対し, HRTおよび抗原特異的IgE抗体 (RAST) を測定し, HRTとRASTとの比較を中心とした検討を行った. RASTと比較してHRTの陽性率は低い傾向があり, また抗原による差を認めた. 特に, ダニや卵白では低年齢層で有意にHRTの陽性率が低く, カットオフ値の基準を再検討する必要性が示唆された. しかし, アレルギー疾患に対する使用薬剤数が多く, 多くのアレルギー性疾患を合併している群ほど, HRTの陽性率が高い傾向を認めており, HRTの結果が重症度を反映している可能性が示唆された.