日本小児アレルギー学会誌
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小児気管支喘息の寛解と治癒
長期予後成績から
関根 邦夫青柳 正彦渡辺 博子西牟田 敏之
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2000 年 14 巻 1 号 p. 87-94

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抄録

1986年~1989年に下志津病院小児科を初診した喘息児261名の予後につき新しい小児喘息予後判定基準に従って検討した. また1978年~1982年に初診し, 寛解または無症状と回答した喘息児85名につき初診後17年~21年経過した段階での再発率を検討し, 以下の結果を得た. 1) 予後成績は臨床的治癒65名 (24.9%), 寛解1~4年50名 (19.2%), 無症状17名 (6.5%), 軽快95名 (36.4%), 不変22名 (8.4%), 悪化3名 (1.6%), 再発7名 (2.7%), 死亡1名 (0.4%) であった. 2) 治癒・寛解に影響する因子としては初診時重症度が最も大きく, 初診時軽症群に比べ初診時中等症群, 初診時重症群でより予後が悪かった. 3) 初診時治療はテオフィリンRTC療法と抗アレルギー薬が主体であり, その後経過によりBDPなどの吸入療法が追加されたが寛解率の増加にはあまり影響しなかった. 5) 1978年~1982年の予後調査で寛解に至った者の内, 現在喘息症状が再発したのは6名 (7.4%) であった. 性別では男性の再発率が3.6%, 女性で16.7%であり女性で再発率が高かった.

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