抄録
マクロライド系抗生物質の抗炎症作用を目的として, 少量長期療法は慢性気道炎症に対して注目されてきている. 今回我々は難治性の気管支喘息例に対してマクロライド少量持続療法を施行し, 臨床学的および免疫学的検討を行った. 対象は中等症持続型~重症持続型喘息児の生後8ヵ月から11歳10ヵ月 (平均3歳6ヵ月) の36例. 少量EM (10-20mg/kg/日), CAM (5mg/kg/日) 投与し, 試験期間 (対照観察期間3ヵ月+投与3ヵ月以上) の3ヵ月毎臨床症状および血液免疫学的検討を行った. 対象症例全体でみると症状点数, 喘息点数の有意な低下がみられ, 特に3歳以上群, アトピー型群に症状点数, 喘息点数の低下がみられた. 3歳以下非アトピー型群は感染合併型が多く症状点数, 喘息点数の有意の低下を認めた. マクロライド少量持続療法は一部の症例ではあるが有効であり, 今後難治性な喘息児に試みる価値があると思われた.