抄録
卵除去食療法中の患者46例を対象に, 加熱卵負荷試験を実施した. 対象の血中EW, OAおよびOM特異IgE抗体をユニキャップで測定し, 負荷試験の結果と比較した.
負荷試験で即時型反応を示した陽性群は20例 (P群), 陰性群は26例 (N群) で, 両群間で年齢, 卵除去期間に有意差を認めなかった. P群のEW, OAおよびOM特異IgE抗体価は, 各0.8, 0.9および0.7logUA/mlで, N群では, 0.3, 0.3および-0.3logUA/mlといずれもN群で有意に低値を示した. N群のEW, OAおよびOMの特異IgE抗体陽性率は, 各々92.3%, 88.5%および34.6%で, P群ではいずれも100%であった. OM特異IgE抗体陽性率だけが両群間で有意差を認めた. また, RASTクラス別にみた負荷試験結果では, クラス2における負荷試験の陽性率が, EW26%, OA25%, OM59%でEWとOM, OAとOMの間に有意差を認めた (P<0.05). これらの結果より, ユニキャップによるOM特異IgE抗体の測定は, 卵除去食療法中の患者において加熱卵除去解除の指標として有用となることが示唆された.