日本小児アレルギー学会誌
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食物アレルギーを示すアトピー性皮膚炎に好酸球著増を併発した1乳児例
血清インターロイキン-5活性の検討
佐伯 敏亮野間 剛宮田 康弘釼持 学菅原 陽子石川 義人松浦 信夫
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2001 年 15 巻 2 号 p. 194-200

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抄録
食物アレルギーを示すアトピー性皮膚炎 (AD) に好酸球著増を併発した乳児例の臨床経過と血清サイトカイン活性について検討した. 症例は3ヶ月女児. 母乳栄養. 生後1ヶ月頃より湿疹が出現し, 母体の食餌摂取制限にても湿疹は増悪し, 体重増加不良を示した. 低蛋白血症と肝機能障害を認め, 末梢血好酸球数が増加し (15, 520/μl), 食物抗原に対する特異IgE抗体の高値を認めた. アレルギー治療用ミルク, スキンケア, ステロイド療法により症状および好酸球増多は改善したが, ステロイド減量により再度増悪した. これらは, 食物除去を含む治療の継続に伴い改善を認め, 11ヵ月時ステロイド療法を中止した. 好酸球増多と症状とは必ずしも侍関を認めず組織への好酸球浸潤は軽微であった. 血清中IL-5活性はIL-4およびエオタキシン値 (正常範囲内) と解離を示し, 健常児と比較して高値を示した. IL-5活性はステロイド療法により低下し, ステロイド減量により軽度増加するとともに末梢血好酸球数の対数値と正の相関を示した. 以上から本症例における末梢血好酸球著増は血清中で亢進を認めたIL-5活性と特異的に侍関していることが示唆され, その著増はIL-5活性に起因していると考えられたが, 著増した好酸球は症状発現の主体をなしている可能性は少ないと考えられた.
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