日本小児アレルギー学会誌
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食物アレルギーが疑われる小児例におけるオボアルブミン, オボムコイド, 加熱牛乳に対する特異的IgE抗体測定の有用性の検討
琴寄 剛高橋 由利子横田 俊平相原 雄幸
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2001 年 15 巻 2 号 p. 201-207

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抄録
鶏卵・牛乳アレルギーが疑われた小児74名について, オボアルブミン (OVA), オボムコイド (OVM), 加熱牛乳 (BM) 特異的IgE抗体を測定し, 卵白 (EW) ならびに牛乳 (CM) 特異的IgE抗体と比較し, その有用性を検討した.
OVAとOVM抗体はEW抗体と強い正の相関を認めた. OVA抗体陽性69例中でOVM抗体陰性は21例であった. この内9例で加熱鶏卵摂取を行ない全例で臨床症状を認めなかった. 両抗体陽性は58例で, 20例で加熱鶏卵摂取を行ない, 8例でアレルギー症状を認めた. また, 両抗体の経時的測定からは, EW抗体と一致した変動を示した.
一方, CM抗体陽性の31例中, BM抗体陰性は10例であった. 未摂取1例を除く9例のうち8例は牛乳摂取による症状を認めなかった. 両抗体陽性は21例で, 未摂取5例を除く9例中6例で臨床症状を認めた.
以上から, OVM抗体は, 鶏卵アレルギーが疑われる患者において, 食事制限解除の可否の判断の助けになる可能性が示唆された. しかしながら, BM抗体の有用性は必ずしも明確ではなかった.
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