日本小児アレルギー学会誌
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乳幼児喘息に対する吸入ステロイド療法の有効性と問題点
重田 みどり岡本 美穂中嶋 玲子市川 邦男
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2002 年 16 巻 2 号 p. 180-186

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抄録
ステロイド吸入療法は気管支喘息治療において重要な位置を占めるが, 我が国における乳幼児の検討は少ない. 今回, beclomethasone dipropionate (BDP) 吸入療法を行った喘息乳幼児20例を対象に, その有効性と問題点を検討した. BDP開始月齢は11~49か月, 重症1例, 中等症19例, BDP開始前の治療はテオフィリン薬,β刺激薬使用が全例, さらにDSCGとサルブタモールの定期吸入併用が14例であった. BDP吸入に使用したスペーサーは, エアロチャンバー16例, ベビーヘラー3例, マイクロヘラー1例であった. BDP吸入量は100μg/日で開始した14例中3例は増量し, 200μg/日で開始した5例中1例と400μg/日で開始した1例は減量した. 20例中3例は中断を余儀なくされたが, 17例は1年間BDP吸入療法を行った. BDP開始前後各1年間の発作点数, 入院日数はBDP導入により有意に減少した. 身長, 成長率には有意な変化は認められなかった. 保護者は患児の協力は得られにくいもののBDP吸入を効果的と感じていた. 乳幼児喘息においてもBDP吸入療法は有効な治療法であり, コントロール不良な症例には, きめ細かな吸入指導と副作用に対する配慮により導入可能と考えられた.
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