抄録
平成4-15年に国立大竹病院小児科救急外来を受診した延べ13,784名, およびその内の喘息発作により受診した児2,019名を対象とし, 各月の全救急外来受診児数に対する喘息発作有症児数の割合について検討した. また, 当科で喘息に対して定期投薬を受けていた児での喘息発作による救急外来受診率の推移と定期投薬内容の変化との関係も検討した. 平成5年, 10年, 15年の月別救急外来受診児数に占める喘息発作有症児数の割合は, いずれの年も秋季にそのピークをみとめたが, 平成15年では, 年間を通しても, 秋季でも, 他の年に比較し有症児の割合の低下傾向をみた. 対象期間を2年ごとにまとめ, 各2年間の月間救急外来受診児数に占める喘息発作有症児数の割合の平均の検討では, 平成4-9年ころには16.8-19.6%であつた割合が, 以後徐々に減少し, 平成14-15年には7.9%となった. 秋季 (9-11月) のみの検討でも同様の推移を示した. 平成4-15年秋季に当科で喘息に対する定期投薬を受けていた児で, 喘息発作による救急外来受診を必要とした児の割合は, 平成4-5年28.0%, 平成8-9年26.0%, 平成14-15年10.2%で, 平成10年以後低下傾向をみた. ステロイド吸入薬の処方率 (使用率) の増加等, 喘息治療法の変化と救急外来を受診した喘息児の減少との関係が示唆された.