日本小児アレルギー学会誌
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特発性ネフローゼ症候群におけるアレルギーの関与についての検討
藤枝 幹也倉繁 隆信厨子 徳子小倉 英郎
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1991 年 5 巻 1 号 p. 17-23

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抄録
特発性ネフローゼ症候群 (INS) のアレルギーの関与を指摘する報告があるが, 一方では, 本症における血清IgE高値を何らかの免疫異常の結果とする報告もある. そこでINSにおける合併アレルギーの頻度, 血清IgEの推移, RAST値をINS16例と対照23例で比較した.
1. INSは対照に比して, アレルギー疾患の合併頻度が高く, アレルギー性鼻炎, 気管支喘息などの気道アレルギーの合併が高い傾向にあった. また, 外泊時にアレルギー性鼻炎の悪化, 気管支喘息発作と同時に蛋白尿の増悪した症例を2例経験した.
2. RAST陽性率は, ダニ, 卵白, 大豆でINSが対照に比して高い傾向がみられた.
3. INSの血清IgE値の幾何平均は, 初発時とその寛解期および再発時がそれぞれ, 1445 (479~4365, n=13) IU/ml, 427 (120~1514, n=9) IU/ml, 646 (145~2884, n=6) IU/mlで対照の191 (71~513, n=18) IU/mlに比して有意 (p<0.01, p<0.05, p<0.05) に高値を示した. 特に, 6歳以上のINSで血清IgEの高値 (3020 (1585~5754, n=7) IU/ml) が著明であった.
以上, INSの中には, アレルギー素因を有する例があり, その発症あるいは誘因にアレルギー機序が関与している可能性が考えられた.
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